染色をするようになったきっかけは 織物に使用する綿糸を 草木染することだった。
 身近にある植物を採集しそのエキスを煮出し、2,3日かけて 糸の芯まで色素を浸み込ませる。
 白い服を染めるときのように、糸に染めムラを作らないことに注意する。

 数年前に出会ったこの染色 「(通称)レインボー染め」は その対極にあるものだった。
 短時間で, 一つの容器で, たくさんの色を同時に染める発想は新鮮そのもの、初めて染めるときの素材は 羊の原毛が失敗が少ない。


100gの原毛に ひたひたの水を入れる

赤・青・黄の染料3gずつを温湯で溶かす

三等分した位置から 染料を流し込む


 色の三原色(赤・青・黄)があれば、どんな色でも作り出せるので、まずは 元になる三色を用意する。
 酸性染料(羊毛・絹用)の粉末を きっちり3g量って、100ccの温湯でよく溶かす。

 加熱してお湯の温度になったら、正三角形の頂点と容器が接した地点から、それぞれの色をそっと流し入れる。
 沸騰が始まったら火を弱め、助剤を全体に降りかけて弱火で30分ほど続ける。

 この間、かき混ぜたり,中心部分を突付かないように注意して、色が濁らないようにする。
 容器に注ぐ色の比率は、黄3・赤2・青1にすると 夫々の色が 穏やか溶け合う。
                      (黄は弱い色・赤は中くらい・青は強い色)

     使い残した染料は 蓋付きの容器に保存しておけば、2ケ月は使用できる。


加熱してからは火と水の流れのままに

助剤として 適量の酢を入れる

熱を冷ました原毛を水に入れる


 染める度に色合いが変化するのは、染料の割合, 火加減, 容器中の湯の対流によるものといえる。 
 人知を超えた「火と水の力」は 予想もつかない色を生み出し、これを染める度に楽しんでいる。
 染めた原毛を 気の向くままに紡いでいくと、思いがけない色が繋がって一本の長い糸になるのが面白い。


脱水後 広げて乾かす

様々な色が混ざり合う

柔らかい色合いにも

紡ぐとカラフルな色合いの糸になる


 糸を染めるときは 繊維の方向に染料が流れるので、とぐろを巻かせたり,くしゃくしゃに入れたりの工夫するとよい。
 こんな糸はアクセントにして使うと、面白い布が織り上がる。
  使用したのは 直接染料(木綿・麻用)で、助剤には食塩を適量いれて 色素を糸に定着させる。


白いガラ紡綿糸のレインボー染め

青を入れないで染めたら


 レインボー染めに慣れたら 染料の分量に注意して、下のような染め方もどうぞ。
 化学染料は ゴマ粒一つの違いで色合いが変化しますので、入れすぎないように注意する。

 でも、「思った色に染まらなかった」という失敗もあるけど、どんな色も使ってみると色に慣れてくる。


青中心で 赤と黄を少し入れる

赤と青だけで染める

黄色を中心にして赤と青は少し